外科カリキュラム
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初期研修医 外科カリキュラム
診察
GIO
外科的疾患の診断と治療に必要な基本的な診察技術を習得する。
SBO
- 問診にて、症状の経過と現在の状態を的確に聞きとることができる。
- 併存疾患の有無を把握することができる。
- 患者の不安、羞恥心に配慮した適切な方法で診察できる。
- 視診、触診、打診、聴診にて的確な理学的所見を取ることができる。
- 結膜の貧血、黄疸を指摘できる。
- 表在リンパ節の腫大を指摘できる。
- 甲状腺の異常を指摘できる。
- 乳腺の異常を指摘できる。
- 気胸や胸水貯留を指摘できる。
- 鼓腸を指摘できる。
- 腹水貯留を指摘できる。
- 腸蠕動音の正常と異常がわかる。
- Blumberg、Defense、板状硬などの腹膜刺激症状を区別して所見をとれる。
- 鼠径部の診察により鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアを診断できる。
- 直腸指診により、腫瘤の有無、便の性状、便潜血の有無を判別できる。
- 末梢血管疾患を指摘できる。
- 問診、診察所見からいくつかの疾患を想定し、必要な検査、初期治療を指示できる。
- 診察時の状態と今後の方針を説明することができる。
検査
GIO
必要な検査を行い、その結果を判断することができる。
SBO
- 必要な検査を選択し、指示および施行することができる。
- 各種画像検査の読影が的確にできる。
- 色々な検査結果を総合的に判断することができる。
診断
GIO
鑑別診断、手術適応を含めた総合的な診断を習得する。
SBO
- 各種外科的疾患の鑑別診断ができる。
- 各種外科的疾患の手術適応、手術法の判断ができる。
滅菌、消毒法
GIO
滅菌、消毒法についての知識を習得し、清潔領域を確保した無菌的な処置を実践する能力を身につける。
SBO
- 処置器具や材料の滅菌法を説明できる。
- 消毒薬の種類とその効果を説明できる。
- 無菌的処置を行うための手洗いを正しく行うことができる。
- 滅菌された手袋と手術着を正しく着用できる。
- 適切な方法で滅菌敷布を使用し消毒領域を確保できる。
- 清潔野(消毒領域)と不潔野(非消毒領域)を常に意識し処置を行うことができる。
- 周囲にも気配りし清潔野の汚染を防ぐことができる。
創傷処置
GIO
創傷治癒の過程を理解し、創傷処置を適切な方法で正確に行う技術を習得する。
SBO
- 一次癒合と二次癒合の治癒過程の違いを説明できる。
- 創傷処置に必要な器材を準備し正しく適用できる。
- 局所麻酔薬の最大投与量、副作用を説明できる。
- 局所麻酔薬の副作用に対する治療ができる。
- 局所麻酔(浸潤麻酔)を確実に行うことができる。
- 局所麻酔(伝達麻酔)を確実に行うことができる。
- 創に対し縫合が必要か否かを判断できる。
- 創の洗浄、デブリードマンの適応を理解し、実践できる。
- 創に対し適切な針と糸を選択し、正確に縫合できる。
- 縫合糸の抜糸を適切な時期に適切な方法で行うことができる。
- 皮下膿瘍の切開排膿を行うことができる。
- 軽度の熱傷に対する初期治療を行うことができる。
基本的技術
GIO
血管穿刺、静脈カテーテル留置、胃管留置、気管内挿管、胸腔ドレーン挿入などしばしば行われる技術を修得する。
SBO
- 静脈採血を行うことができる。
- 動脈採血を行うことができる。
- 静脈留置針を挿入し、輸血ルートに接続できる。
- CVラインを安全、確実に確保できる。
- CVライン確保に伴う合併症を理解し、その予防および治療を行える。
- 胃管を確実に挿入できる。
- 気管内挿管を確実に行うことができる。
輸液療法
GIO
外科的疾患の初期治療、術前術後の管理に必要な輸液療法の基本知識を習得し実践する。
SBO
- 細胞外液と維持液の違いを説明できる。
- 細胞外液の組成を知り、その製剤を列挙できる。
- 維持液の組成を理解し、その製剤を列挙できる。
- 高カロリー輸液の組成を理解し、その製剤を列挙できる。
- 細胞外液投与の適応を理解し、実際に製剤選択、量、速度を指示できる。
- 維持液投与の適応を理解し、実際に製剤選択、量、速度を指示できる。
- 高カロリー輸液の適応を理解し、実際に製剤選択、量、速度を指示できる。
- 脱水状態の診断と治療ができる。
- 循環血液量過剰状態の診断と治療ができる。
- 電解質異常の原因を推定し、適切な補正ができる。
外科的感染症の予防と治療
GIO
外科的感染症の治療あるいは、術後管理における抗生剤の適切な使用法を習得する。
SBO
- ペニシリン系抗生剤をいくつか列挙でき、それぞれの抗菌スペクトラムと使用法を理解している。
- 第1、第2、第3世代セフェム系抗生剤をそれぞれ列挙でき、それらの抗菌スペクトラムと使用法を理解している。
- アミノ配糖体系抗生剤の抗菌スペクトラムと使用法、副作用を理解している。
- テトラサイクリン系抗生剤の抗菌スペクトラムと使用法、副作用を理解している。
- クリンダマイシン系抗生剤の抗菌スペクトラムと使用法、副作用を理解している。
- カルバペネム系抗生剤の抗菌スペクトラムと使用法、副作用を理解している。
- 抗真菌剤の適応と使用法を理解している。
- 皮膚感染症、腸内細菌感染症の起炎菌を列挙できる。
- 嫌気性菌感染症を疑う病態を説明できる。
- 代表的な多剤耐性菌を列挙し、それぞれに有効な抗生剤を選択できる。
- 感染創あるいは排膿に対して菌培養と感受性検査を速やかに指示、施行できる。
- 縫合創の感染徴候を理解し、感染時に適切な処置を行うことができる。
- 疾患、病態に応じて抗生剤を選択し、その用量、投与期間を設定できる。
術前管理
GIO
指導医と共に患者の術前状態を把握し、手術までの基本的な患者管理を習得する。
SBO
- 術前患者の不安感に配慮した言動をとることができる。
- 現病歴を経時的に整理してカルテに記載することができる。
- 既往症、合併疾患を把握し、手術に対する影響、注意点を説明できる。
- 必要な術前検査を指示できる。
- 肺機能の判定ができる。
- 術前に施行された各種画像検査、内視鏡検査、病理検査の所見を把握し、異常所見を説明できる。
- 手術の適応、予定術式を理解し説明できる。
- 手術に伴う合併症について説明できる。
- 患者、家族への治療方針の説明時に同席し、その要点を述べることができる。
- 術式に応じた術前処置の管理、施行ができる。
- 術前呼吸訓練の指示、指導ができる
手術
GIO
手術に助手あるいは術者として参加し、手術を安全、円滑、確実に進めていく能力を習得する。
SBO
- 手術に積極的に参加し、協力することができる。
- 手術中における清潔野の確保に留意することができる。
- 手術に必要な解剖を理解し説明できる。
- 各種器具(摂子、把持鉗子、鉤、メス、電気メス、はさみ)を正しく使用できる。
- 開胸法の種類を説明し施行できる。
- 開腹法の種類を説明し施行できる。
- 出血に対し、ガーゼや吸引器を適切に使用できる。
- 結紮を正確かつ迅速に行うことができる。
- ドレーンの挿入ができる。
- 手術所見を把握し説明できる。
- 手術内容を理解し説明できる。
- 手術記録を正確に記載できる。
- 切除標本を観察し、その所見を正確に記載することができる。
- 切除標本の撮影、病理検体としての処理を行うことができる。
以下の外科的疾患の手術症例を担当医として最低1例経験し、指導医のもとで診察と検査、診断と治療を行う。
1 | 体表の腫瘤 |
2 | 甲状腺腫瘍 |
3 | 乳癌 |
4 | 胃癌 |
5 | 大腸癌 |
6 | 胆石、胆嚢炎 |
7 | 急性虫垂炎(小児および成人) |
8 | 胃・十二指腸潰瘍穿孔 |
9 | イレウス |
10 | 腹膜炎 |
11 | 鼠径(小児および成人)・大腿ヘルニア |
12 | 痔核・痔瘻 |
13 | 下肢静脈瘤 |
術後管理
GIO
術後管理の重要性を理解し、指導医と共に基本的な術後の患者管理を習得する。
SBO
- 術後の指示が正確にできる。
- 呼吸、血圧、脈拍、尿量、体温などの変動を常に意識している。
- 手術の説明が患者、家族に理解してもらえるようにできる。
- 経鼻胃管の管理ができる。
- 手術内容や患者の状態に応じて輸液を指示できる。
- 術後感染予防として抗生剤を適切に使用できる。
- 腹膜炎手術に対して起炎菌を想定した抗生剤の選択を行える。
- 術後の経口摂取の開始時期と食事進行の原則を理解している。
- 正常な術後の経過をおおむね理解している。
- 起こりうる合併症と治療について理解している。
- 手術創の感染を速やかに察知し適切な処置を行える。
- ドレーンの管理ができる。
- 持続吸引器の使用が正確にできる。
- ドレーンの抜去ができる。
- 術後経過中に生じた異常を察知し指導医と共に治療方針を検討することができる。
- 指導医と共に手術後の治療方針を検討し、計画することができる。
- 患者に退院後の生活指導ができる。
癌末期患者への対応
GIO
癌末期の患者の病状、心理状態を把握し適切な対応を習得する。
SBO
- 病状の進行状態が把握できる。
- 疼痛を含めた苦痛を取り除くための知識(緩和ケア)を身につけ対応する。
- 患者の気持ちを理解し対応できる。(精神的緩和)
- 患者、家族に予後を含めた病状の説明ができる。
- 患者が亡くなった後の家族への対応ができる。
LS1 病棟・外来研修
1 | 担当医として入院患者を受け持ち、主治医(指導医)とともに、問診、身体診察、検査所見、画像所見を把握し、治療計画を立案し、輸液、追加検査、処方などのオーダーを指導医とともに実行する。 |
2 | 採血、輸液ラインの確保を行う。 |
3 | 包交、抜糸、ドレーン管理、胸腔・腹腔穿刺などの処置を術者、助手として行う。 |
4 | インフォームドコンセントの実際を学ぶため指導医と同席する。 |
5 | 死亡診断書、退院サマリーを主治医の指導のもとに作成する。 |
6 | 入院診療計画書、退院療養計画書を指導医とともに作成する。 |
7 | 初診患者の問診、身体診察、検査データの把握を行い検査治療計画立案に参加する。 |
8 | 小手術、検査の術者、助手をする。 |
LS2 手術室研修
1 | 助手として手術に参加し、手術器具を使用した処置に参加する。 |
2 | 指導医とともに術野消毒、滅菌敷布を正しく施行し、術野確保を行う。 |
3 | 手術手技と共に局所解剖を学ぶ。 |
4 | 切除標本の観察、整理、記録することにより各種癌取扱い規約などを学ぶ。 |
5 | 患者・家族への手術結果説明に同席する。 |
LS3 検査・手技研修
1 | 術後造影検査(胃透視検査など)、ドレナージチューブ交換、CVルート確保・抜去、経鼻胃管留置・抜去、ロングチューブ挿入・抜去などの処置を指導医とともに施行する。 |
LS4 カンファランス
1 | 消化器合同カンファランス(毎週火曜日18時から)に参加し、検査結果、画像診断を理解し手術適応、術式の決定について学習する。また、術後症例の報告を行う。 |
2 | 手術患者カンファランス(消化器合同カンファランス終了後)に参加し、受け持ち患者の症例提示を行い議論に参加する。 |
3 | 入院患者カンファランス(原則毎週月曜日8時30分から)に参加し、受け持ち患者の問題点、治療方針などの議論に参加する。 |
LS5 勉強会
1 | 抄読会 勉強会(随時):発表方法、プレゼンテーションの仕方を学ぶ。 |
LS6 レポート
1 | 担当患者についてサマリー(レポート)を作成する。"提出が義務づけられている経験すべき症状・病態・疾患"についてレポートを作成する。 |
2 | 担当患者の手術記録の作成をする。 |
LS7 技能研修・自習
1 | 興味ある手技に対する練習器具を使用した技能練習(縫合練習、鏡視下手術練習など) |
評価(EV)
1 | 研修医の到達度評価は、各分野・診療科のローテーション終了時に、医師及び医師以外の医療職(看護師を含む)が研修医評価票Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを用いて評価する。 |
2 | 上記評価の結果を踏まえて、少なくとも年2回、プログラム責任者が、研修医に対して形成的評価(フィードバック)を行う。 |
3 | 2年間の研修終了時に、研修管理委員会において、研修医評価票Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを勘案して作成される「臨床研修の目標の達成度判定票」を用いて、到達目標の達成状況について評価する。 |
4 | 「経験すべき 29 症候」と、「経験すべき 26 疾病・病態」の研修を行ったことの確認は、日常業務において作成される病歴要約に基づくこととし、病歴、身体所見、検査所見、アセスメント、プラン(診断、治療、教育)、考察を含み、「病歴要約提出状況」の全ての項目に指導医の確認と評価をもらう。 |
週間スケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
9時まで | 前日手術患者 回診・採血 |
前日手術患者 回診・採血 |
前日手術患者 回診・採血 |
前日手術患者 回診・採血 |
前日手術患者 回診・採血 |
午前 | 手術 病棟回診 透視検査 |
外来診察 | 手術 病棟回診 透視検査 |
手術 病棟回診 透視検査 |
外来診察 |
午後 | 手術 | 手術 | 手術 次週手術患者カンファ |
手術 | 手術 |
夕方 | 術後患者回診 | 術後患者回診 | 術後患者回診 | 術後患者回診 | 術後患者回診 |