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整形外科


整形外科医師チーム 新体制スタート

整形外科は、令和7年より4月名古屋市立大学整形外科の新たな関連病院として体制がスタートし、現在は5名体制で診療にあたっています。 子どもたちの健康を守るため、新生児検診の実施と、急な骨折などにも対応できる手術体制の充実に努めています。

特色

整形外科は、運動器(骨、関節、筋肉、腱、神経)の病気の治療を目的としています。
治療範囲は脊髄から末梢神経までの神経疾患、関節外科(人工関節、関節鏡)、外傷(骨折、筋腱・靭帯損傷)外科学を中心に治療を行っております。
整形外科全般の診療を行っていますが、特に「骨折」「膝・股関節の変形性関節症」に力を入れています。

膝・股関節の変形性関節症

変形性関節症は女性に多く見られ、加齢、体重負荷、外傷を契機に軟骨摩耗が起こり進行して発症します。
症状としては「関節周囲の痛み、腫れ、引っ掛かり感、違和感」です。
特に膝関節や股関節は関節症の頻度が高く、これらに対して保存治療(手術を用いない治療:鎮痛薬、リハビリテーション、装具)がまずは選択されますが、進行した場合は手術治療も選択肢に挙がります。

当科では大学、他病院と連携し、以下の手術を安全に行っております。
膝関節 関節鏡、骨切り術、単顆型人工膝関節置換術(UKA)、全人工膝関節置換術(TKA)
股関節 全人工股関節置換術(THA)
THAやTKAは術前に計画した通りにインプラントを設置することが長期成績や術後の機能改善・疼痛除去に重要です。当科ではTHAはCTのデータから構築した3Dテンプレートと呼ばれる方法でインプラントの設置位置を設計し、より精度の高い手術を目指し、また、THA・TKAともに術中ナビゲーションを採用し、術中の骨切りおよびインプラント設置の精度をあげる事に努めています。

以上、お気軽にご相談ください。

変形性膝関節症の手術について

骨切り術と人工膝関節置換術

変形性膝関節症の手術には、大きく分けて、骨切り術と人工膝関節置換術という2つの方法があります。
骨切り術というのは、膝関節の変形している場所の骨を切って角度を矯正し、軟骨が残っている方に荷重軸を移動させることで、自分の関節を温存しつつ変形や痛みを改善します。

一方、人工膝関節置換術は、傷んでいる膝関節を人工の金属やポリエチレンに置き換えることで、早期に膝関節の変形や痛みの改善が期待できる手術です。人工膝関節置換術には、全置換術と部分置換術があります。

骨切り術

手術前と手術後のレントゲン

手術前と手術後のレントゲン

骨切り術は、軟骨のすり減りや変形が膝関節の内側だけ、もしくは外側だけに限局している場合に適応となります。 特に多いのは、すり減りが内側に大きくO脚になっている人です。
骨切り術にはいくつか種類があり、これまで一般的に行われてきたのは、「高位脛骨骨切り術(HTO)」といって、脛骨(すねの骨)の上の方を切って角度を矯正する方法です。

最近は、より患者さんの状態に合わせた骨切り術が行われるようになってきました。例えば、脛骨の内側から外側に向かって骨を切り、内側を開いて矯正する「内側開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)」、脛骨と大腿骨(太ももの骨)の両方の骨切りを同時に行い、できる限り正常な状態へと改善する「ダブルレベルオステオトミー(DLO)」、膝蓋骨の位置を保つことで術後の軟骨損傷の発症リスクを減らす内側開大式脛骨粗面下骨切り術(DTO)などがあります。

…このように、新しい骨切り術の方式が開発されていることによって、これまでは、人工膝関節しか選択肢がなかった人が骨切り術で治療を受けられ、自分の膝を残しながら元の生活に戻ることも可能です。

人工膝関節置換術

①UKA(単顆置換術)②TKA(全置換術)
手術前と手術後のレントゲン

人工膝関節置換術は、変形性膝関節症や関節リウマチなどによって傷んだ膝関節の表面を、人工の関節部品(インプラント)に置き換える手術です。痛みの軽減や歩行能力の改善を目的として行われます。

手術では、大腿骨や脛骨(必要に応じて膝蓋骨)の骨の表面を整え、金属やポリエチレンなどでできた人工関節を設置し、骨セメントなどを用いて固定します。これにより、関節の動きをなめらかにし、日常生活動作の改善を目指します。
また、当院で近年、症例数が増加しているUKA(単顆置換術)は、TKA(全置換術)と比較して、置換が必要な部分のみに手術範囲を限定できるという特徴があります。そのため、相対的に骨の温存性が高く、前十字靱帯をはじめとする靭帯や健常な関節面を残すことが可能です。これにより手術侵襲が抑えられ、術後の違和感が少なく、早期の機能回復が得られやすいとされています。

実際に、無作為比較試験や国内外の臨床報告において、UKA(単顆置換術)はTKA(全置換術)と比較して、術後6週間から3か月にかけて、歩行能力などの日常生活動作に関連する回復が早く、術後疼痛の軽減や入院期間の短縮が期待できる手術法であることが示されています。

一方で、UKAは一般的にTKAと比べて手術視野が限られ、健常な骨や靭帯を温存しながら関節のバランスを精密に調整する必要があるため、より高い手術精度が求められる術式でもあります。
当院ではこうした特性を踏まえ、Makoロボット支援手術システムを導入し、術前の3D計画に基づいた骨切除およびインプラント設置の精度と再現性の向上に取り組んでいます。これにより、患者さん一人ひとりの膝の形態に即した、より正確で再現性の高いUKA手術を行うことが可能となっています。

Makoシステム画像:UKA(単顆置換術)

Makoシステム画像:UKA(単顆置換術)

UKA(単顆置換術)

左:UKA(単顆置換)右:TKA(全置換術)

当院の臨床経験においても、UKA術後の回復が順調に進む患者さんの中には、術後3日目までに階段昇降が可能となる例を経験することがあります。このような経過は、周術期の疼痛管理と段階的なリハビリテーションを適切に組み合わせることで、短期的な日常生活動作の回復が促進される可能性を示唆するものと考えています。

一方で、膝関節全体に変形が及んでいる場合や、靭帯の機能が十分に保たれていない場合などには、UKAが適さないこともあります。そのようなケースでは、TKA(全置換術)がより適切な治療選択となります。

当院では、UKAに限らずTKAにおいても、周術期の疼痛管理とリハビリテーションに特に注力しています。手術直後からの痛みをできるだけ抑え、安心して身体を動かせる環境を整えることで、早期離床と機能回復を支援し、患者さんが安心して治療を受けられる体制を整えています。

デジタルプランニングツールmediCADについて

ドイツ製シミュレーションソフト「 mediCAD 」を導入し、レントゲン画像をPC上で瞬時に解析し、患者さんと共有しながら手術内容を決めることができるようになりました。

手術支援システム「Mako」

当院は令和7年6月に愛知県内では6台目、東三河地域では初の導入となる、ロボティックアームを用いた人工股関節・膝関節の手術支援システム「Mako」(読み方:メイコー)(日本ストライカー株式会社)を導入しました。 これにより、蒲郡市民病院整形外科の人工股関節・膝関節全置換術において、より低侵襲な手術の提供が可能になりました。

Makoシステム画像:TKA(全置換術)

Makoシステム画像:TKA(全置換術)

Makoシステムのロボティックアームは、術中に医師が操作して動かし、人工関節を設置する際に傷んだ骨を削るために使用します。ロボティックアームは、人の手のようにぶれることがなく、正確に動き、止まります。その為、三次元CTデータをもとに事前に作成した治療計画から外れることなく、治療計画通り、正確な骨切りが可能になり、血管・神経の損傷を最小限に留めることが期待できます。

Makoシステム画像:TKA(全置換術)

Makoシステム画像:TKA(全置換術)

緑色のエリアが事前に計画した削られる部分です。医師が計画通り削ると色が白に変わります。 医師は、モニターに映し出された3D画像でリアルタイムに確認します。 予定外のエリアに刃やドリルが動くことをロボティックアームが制御するため、予定外のエリアが削られる心配がありません。

画像提供:日本ストライカー株式会社

主な対象疾患

骨折予約診

一般的な関節内骨折に加えて、肩甲骨骨折や踵骨骨折などの比較的稀な骨折も手術を視野に入れつつ適切な治療を行います。

膝・股関節予約診

膝、股関節の症状(痛み、腫れ、動かしにくさ)でお困りの方は是非ご相談ください。

装具、ギプス、車椅子の外来

装具やコルセットなどの作成・車椅子や生活用具などの作製は、月曜日から金曜日の午前10時ごろから行っています。

診察週間予定表

曜日 午前 午後 その他
月曜日 片岡 真弥
磯部 雄貴
手術 ○ギプス
(松本義肢)
午前10時から
火曜日 伊藤 禎芳
桑山 剛
手術 ○ギプス
(アシスト)
午前10時から
水曜日 千葉 晃泰
裵 漢成
手術 ○ギプス
(渡辺義肢)
午前10時から
木曜日 磯部 雄貴
片岡 真弥
裵 漢成
手術 ○ギプス
(松本義肢)
午前10時から
金曜日 桑山 剛
伊藤 禎芳
梅村 彦太郎(小児・第1週)
燒田 有希恵(小児・第3週)
手術 ○ギプス
(アシスト)
午前10時から
この表はあくまでも予定表です。医師の出張等で変更されることもありますので、詳しくお知りになりたい方は外来12番受付までおたずね下さい。

12番受付 直通電話:0533-66-2215

医師紹介(常勤医師)

裵 漢成(はい ひろなり)院長補佐兼整形外科部長兼リハビリテーション科部長

所属:整形外科

資格等
  • 整形外科学会専門医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医
  • 日本体育協会公認スポーツ指導者登録証(スポーツドクター)
  • 臨床研修指導医
  • 難病指定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由)
  • 名古屋市立大学医学部臨床教授
  • 蒲郡市スポーツ医療・健康アドバイザー
手術だけに頼らない医療──運動の重要性と次世代への視点
 
整形外科医というと、「手術で治す人」というイメージがあるかもしれません。もちろん、骨折や靱帯損傷など、構造的な破綻に対する外科的治療は我々の中心的な役割です。
 
しかし、コロナ禍で全国の学会が一気にオンライン化されたことで、逆に地域との関わりが増え、スポーツコミュニティの現場に触れる機会が増えました。そこではっきりと感じたのは、「壊れているから痛い」ではなく、「体の使い方が悪いから痛い」という、機能的な問題が本当に多いということでした。
 
実際、現代の10歳児の運動発達は、25年前の5歳児程度だという調査もあるほどです。社会の変化、遊びの減少、日常の動作が激変する中で、子どもたちの身体の機能そのものが危機的状況にある──それを肌で実感しました。
 
そこで2022年、豊川市在勤時代に「スポーツ医療・健康アドバイザー」に就任し、広く「動くことの大切さ」を伝える活動をスタートさせました。
 
そして令和7年4月から蒲郡市に赴任することとなり、ありがたいことに蒲郡市からも「スポーツ医療・健康アドバイザー」の委嘱をいただきました。今後は市内でも積極的に地域活動に関わり、医療の枠を超えた「健康づくり」のサポートをしていきたいと考えています。

磯部 雄貴(いそべ ゆうき)

所属:整形外科

資格等
  • 整形外科学会専門医
  • 難病指定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由)

桑山 剛(くわやま ごう)

所属:整形外科

資格等
  • 整形外科学会専門医
  • 難病指定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由)

片岡 真弥(かたおか しんや)

所属:整形外科

伊藤 禎芳(いとう さだよし)

所属:整形外科

医師紹介(非常勤医師)

千葉 晃泰(ちば あきやす)

所属:整形外科
資格等
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定臨床医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)

梅村 彦太郎(うめむら ひこたろう)

所属:整形外科

燒田 有希恵(やきた ゆきえ)

所属:整形外科